豪華キャストが揃った映画『忍 -SHINOBI-』の主題歌となった本作に対して、ファンたちは売り上げに期待していた。しかし結局、映画が大コケして、このシングルの初動売上も前作より低くなった。
売り上げは別にして、この曲が異色なバラードとも言える。生死というテーマはもちろん、浜崎さんの歌い方も普段と違う。帰らぬ人を偲ぶ歌だから、エモーショナルに歌ってもいいが、浜崎さんがただ淡々と歌い上げた。
オリコンの田井裕規さんによると、こういう歌い方はモノトーンのジャケットのように、色をつけない表現方法だ。
だから、この曲の世界観が映画と少し違うかも。サビが長調なので、曲自体がそんなに暗くない。歌詞も悲しみを乗り越える決意を表している(「私の中で君は生きる」とか)。この歌い方も、悲しみを乗り越えた後の穏やかさを表現しているかな…と思う。
とはいえ、2, 3回聴いても、やはり少し物足りなくて、ドラマ性に欠けている気がする。静かなアレンジにされたピアノバージョンは特に(オリジナルのクライマックスが力強い)。
エモーショナルな歌い方が唯一の正解だと思わない。ただもう少し感情の起伏が欲しい。
浜崎あゆみ「HEAVEN」
01. HEAVEN 02. Will 03. alterna “Orchestra Version” 04. HEAVEN “Piano Version”
2015.03.16追記:
十年前の感想を日本語訳して、少し改修したもの。田井さんの論点に基づいて書いたので、とてもレビューと言えない。文句を言ったけど、初期の細い声や後期の(強すぎる)ビブラートと比べると、こっちのほうが断然いい。もうファンではないけど、今でもこの曲が好き。歌詞が意味深くて、しかも中盤からのアレンジが日本美を感じさせるから。