Polaris『Music』

面白さ優先で、いつも新しさを感じる音楽を選んでいた僕だが、最近は逆に落ち着いたものを求め始めた。Polarisの音楽はまさに平穏そのものだが、それだけではない気もする。新作アルバム『Music』では、光と闇、日常と心象が溶け合っていて、とても深みのある音楽となった。

最初に聞いたPolarisの曲は、復帰作である「光る音」。初めはただふわふわとした印象が残って、あまり気に入らなかった。でも、何回も聴いたら、その透明感の裏に隠れている重みに気づいた。全体の淡泊なイメージとは対照的に、ベースが背景で静かに騒いでいるようで、少し不穏な空気を漂わせる。歌詞も、「やさしい風も 闇をうつす/さみしい鳥も ひかり見てる」というように、光と闇の混在する世界を表現した。儚さと切なさをじわじわと感じた。

3年後のアルバム『Music』の冒頭曲「天と点」が、まるで「光る音」に呼応するように、「光りの中へ 闇の中へ/どこへ歩いてゆくんだろう/風に乗って」という歌詞から始まる。でも、こちらのほうが暖かく感じる。アルバムには、日差しの暖かい午後のような曲が多い。6曲目の「気配」もこういう曲の一つで、後半のこだましているようなピアノが淡く儚い余韻を残す。ダブのゆるさを発揮し、気持ちいいリラックス感を醸し出すのは、Polarisの真骨頂と言えるだろう。

日常的な雰囲気の曲がメインだが、二部構成の「深海~点滅と明滅をくりかえす」がその反面を見せる。前半の「深海」は安定なPolarisサウンド。後半の「点滅~」は旋律も歌詞も一緒だけど、強いリバーブとエコーが施され、水彩画のようにぼかされた感じになった。その抽象的で色鮮やかなサウンドは、自由な心象風景を感じさせる。安心感のある素朴なサウンドもいいけど、こちらの音遊びも魅力的だと思う。

「光と闇」というテーマから見ても、このアルバムの両面性を感じられる。陽気で明るいリード曲「大気圏」もあれば、湿っぽい「とける」もある。アルバムの中で一番暗い曲だと思う。でも、それはそれでいい。深い海に沈んでいきながら、その海に抱かれているような感じがたまらない。そして歌詞も素晴らしい。発音が似ている言葉が多用され、少しずつ変わっていて、とけあっているみたいな歌詞となった。例えば「How to lay」→「Our today」→「ah too late」、「ゆめの影が」→「ゆめのかけら」など。これもダブの(少しずつ変わる)サウンドに通じると思う。

最後に、やはり深みのある「光る音」で終わるのが一番ふさわしい。だが、アルバムバージョンの変化が目立つ。オリジナルより、ドラムがかなり強調された。その結果、ふわふわとして漂っていたこの曲が、強い力を持ち始めた。これは彼らの心境の変化を表しているんじゃないかと思う。これからは、もっと力強い一面を見せてくれるかもしれない。

Polaris『Music』
01. 天と点 02. 大気圏 03. One 04. Pray 05. とける 06. 気配 07. 20:26 p.m. 08. 深海 09. 点滅と明滅をくりかえす 10. Neu 11. 光る音 (Album Version)

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